脱炭素の取り組み

「最初の一歩」のアドバイス

まず取り組みたいのは、
温室効果ガス排出量の
「見える化」。

北海道経済部 ゼロカーボン推進局
ゼロカーボン産業課 新エネルギー係長
梅津 洋介さん

民間の建設コンサルタント会社勤務を経て令和3年に入庁。地域の脱炭素に従事し、自治体の計画策定から設備導入までをワンストップで支援。令和5年より現職。

北海道経済部 梅津さん

マニュアルや勉強会動画を見ることだって
立派な「一歩」。

脱炭素の取り組みでまずやるべきことは?

地域の脱炭素を進める中で、まさに一歩目といえるのが「地球温暖化対策実行計画(以降、実行計画)」の策定です。

な、なんだか難しそう。

文字面からもそう感じますよね(笑)。ごくごく簡単にいうと、まちの温室効果ガス削減をはじめとするゼロカーボンへの目指すべき方向を示すプラン。実行計画には範囲を公共施設に限定した「事務・事業編」と、地域全体を対象とする「区域施策編」があります。

自治体が取り組むならどちらが良いのでしょう?

事務・事業編は地球温暖化対策の推進に関する法律で、全市町村に策定が義務付けられています。一方の区域施策編は、中核都市未満の市町村での策定は努力義務とされています。

なるほど。では事務・事業編から始めるべき?

う〜ん…地域の脱炭素を後押しすることを考えると、まち全域の自然や社会の特性にマッチした実効性の高い取り組みを定める区域施策編の策定がより大切なポイントとなると思います。

確かに。ただ、実行計画を策定するのって難しそう。

おっしゃる通りです。脱炭素の知見がない段階では、「実行計画を立てる際に、何から始めたら良いのか分からない」というのは当然。だからこそ、実行計画の策定に向けて環境省ではマニュアルを用意している他、北海道でも市町村職員に向けた勉強会動画を公開しています。気になる動画を視聴してみるだけでも、「はじめの一歩」を踏み出したといえるのではないでしょうか。

こちらもチェック

動画『自治体職員のための地球温暖化対策実行計画(区域施策編)勉強会』北海道

地域の事業者・団体や住民と、
一体になれるチームづくりが大切。

実行計画は温室効果ガス削減にまつわることが大部分?

はい、その取り組みが軸になるのは間違いありません。ただ、温室効果ガス削減ばかりを目指して実行計画を策定しようとすると、暗礁に乗り上げてしまうことも多くなってしまうと思います。

というのは?

温室効果ガスの削減にとらわれすぎてしまうと、例えば再生可能エネルギーのポテンシャルが多くない場合、頭を抱えてしまうはず。なので、少しだけ視野を広げてみましょう。つまり、温室効果ガス削減だけを目的とするのではなく、地域をいかに持続させていけるかに目を向け、まちづくりの課題を解決するための一環として実行計画を考える方が取っつきやすいのでオススメです。

そう考えるとアイデアも広がりそう。

脱炭素の切り口を探すには、地域のどんなところに課題があるのか洗い出すことが先決。人口減少や高齢化、交通事業者の撤退…まちの持続可能性を阻む壁と脱炭素の取り組みとを紐づけ、同時に解決できる手段をよく話し合ってみましょう。

まちのことを話し合うなら糸口が見つかるかも。

ただし、議論の場を自治体職員だけで占めるのは得策ではありません。地域の事業者・団体、住民なども実行計画を推進するために欠かせないメンバー。そのみんなが一枚岩となって課題解決にあたれるチームづくりも、区域施策編の策定の重要なポイントです。

北海道経済部 梅津さんのインタビュー

温室効果ガス排出量の推計で、
何をすべきか見えてきます。

脱炭素の切り口を見つけるコツって?

実行計画の区域施策編では、現在の温室効果ガス排出量を推計し、将来の削減目標を話し合っていくことになります。実は、このプロセスが実効性の高いプランの策定にとってとても重要です。

どうしてですか?

家庭や事業所、工場、一次産業の現場など、温室効果ガスの排出量が多い部分が分かることで、何から着手したら良いのかが見えてくるからです。

自ずとヒントが見えてくるんですね。でも、どうやって推計するんですか?

温室効果ガス排出量を「見える化」するための現況推計にはさまざまな方法があります。最もシンプルかつ簡単なのは、環境省が公表している推計値「自治体排出カルテ」をそのまま活用して実行計画を立てることです。

それは取り組みやすいですね!

ただし、まちの実態をより反映させたい場合、アンケート調査やヒアリングなどを重ねて実績値を把握する手法もあります。こちらを独自に進めるのには手間がかかる分、温室効果ガスの排出量データの精度がグッと高まるのがメリットです。

2つの折衷的な手段とかもあるのですか?

はい、そうした手法も採用できます。例えば、自治体排出量カルテの大まかなデータをもとに、まちの特性から要因を分析するというアプローチもあります。農業を基幹産業とする自治体であれば、農業のみ実績値をもとに推計することも可能です。まちに合った推計手法を議論してみましょう。

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『自治体排出量カルテ』環境省
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北海道経済部ゼロカーボン推進局 地球温暖化対策課