脱炭素の取り組み

「最初の一歩」のアドバイス

小さな工夫で大きな節約。
「コミッショニング」で
冷暖房の省エネルギー運用を。

地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
建築研究本部 北方建築総合研究所
建築研究部環境システムグループ
主査(建築環境)

阿部 佑平博士(工学)

道総研・阿部さん

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他にもある! こんな省エネルギー法。

  • 空調運転時はブラインドなどを活用する。
  • 「ノー残業デー」を設定し、定時退庁に努める。
  • 不使用箇所の消灯。
  • 採光を利用した窓際などの消灯。
  • ペーパーレスなどによるプリンタの印刷枚数削減。
  • 上下2〜3階程度の階段利用。
  • エアコン室外機への日よけ設置。

この図は『「ゼロカーボン北海道」実現に向けた取組事例集』 (2023年3月北海道経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課)をもとに作成。

冷暖房や建物本来の性能を引き出して
消費エネルギーを大幅に削減。

道総研建築研究本部では脱炭素化に関してどんな取り組みを行っていますか?

当研究所では道内市町村の公共施設で脱炭素化を進めるため、省エネルギーやZEB(ゼロエネルギービル)化に関し研究者目線からの助言を行っています。実際に複数の役場庁舎のZEB化や建て替えにも立ち会いました。ただ、建物の改修や改築はそれ相当の経費がかかるため、かなりハードルが高いですよね。より手軽で成果も大きい脱炭素活動として当研究所がお手伝いをしているのが「コミッショニング」です。

あまり聞き慣れない単語ですね。

そうですね。主に建設業界で使用される用語で、建物が持つ設備とその性能を検証し、本来の性能を発揮させるためのプロセスを指します。当研究所では庁舎の断熱性能や、現状の温度、エネルギー使用量などの環境調査を行なった上で、空調や冷暖房機器の適正な運用方法を検討。その上で適正な使用方法をご提案しています。

なるほど。具体的な事例を教えてください。

例えば、ある町の役場では冬期間に24時間、暖房を稼働させていました。ところが調査の結果、建物が十分な断熱性能を持っていると判明。夜間の暖房を停止、つまり半日ほどの稼働で充分に快適な室温を保てることが判明したんです。さらに温水を送るポンプも夜間の稼働を抑制したところ、エネルギー使用量の大幅な削減に成功しました。

それは驚きの結果ですね。

「省エネルギー」と言えばついつい「クールビズ」やエアコンの適正利用が注目されてしまいますが、寒い北海道では暖房によるエネルギー消費の割合がとても大きくて、その運用が脱炭素化を大きく左右するんです。

他にも手軽に取り組めることはありますか?

カンタンに言えば、日射のコントロールです。北海道は寒暖差が激しいので、夏でも夜に外気温が低い日が珍しくありませんよね。この特性を利用して終業時にカーテンを閉めておけば、翌早朝の日射を遮断でき、室温の上昇を抑えられるため日中に快適に過ごせる室温となる場合があります。さらに夜間に窓や通気口を開けて冷たい空気を取り入れる「ナイトパージ」をすることで、冷房を入れなくても快適に過ごせるようになった…なんて例もあるんです。

どれも小さな工夫が、大きな省エネルギーにつながってる。

その通りです。大切なのはまず現状を把握することです。当研究所では実際に空調や冷暖房機器を運用しながら一定期間モニタリングを行い、これまでの研究成果をもとに助言いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。

道総研 阿部さん

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